2018.02.15 自己肯定感
同僚の英語の先生に、授業中のある男子サッカー部員の顔つきが変わったというご指摘をいただきました。

彼は最近スターティングメンバーに名を連ねるようになり、練習中の顔つきも、人の話を聞いているときの目も変わってきたと感じていました。

勉強に対する姿勢も良くなっているばかりか、立ち居振る舞いが変わったとのことでした。

部活で自分が成長しているのを感じ、自己肯定感が高まった結果、日頃の態度や姿勢、勉強に対する集中力も出てきたのだと思います。

私の経験では、そういう生徒がだんだんと増えると、いつの間にか強いチームになってきます。

サッカーで自信をつけ自己肯定感が上がり、日常の振る舞いも変わり、それを見逃さずに気づいてくださる大人が身近にいることにより、さらに自己肯定感が高まるという好循環が始まっています。
教え子からスポーツライターの加部究さんが書かれたゲルト・エンゲルス氏(現J1ヴィッセル神戸ヘッドコーチ)の記事を紹介されました。
ゲルトさんは、浦和レッズや、横浜フリューゲルスの監督を務める前、兵庫の滝川第二高校で日本での指導者としてのキャリアをスタートさせました。

1990年代初頭、毎日長時間練習を続けているのに、大多数が公式戦を経験せずに卒業し、そこでサッカーを辞めてしまうことに、彼は疑問を感じていたそうです(現在はU-18リーグにB、Cチーム参戦が可能になったり、U-16の試合があったりと、ここ20年で随分と変わりました)。

また、サッカー部の活動がすべて上意下達で進められていて、先生から生徒、上級生から下級生、まるで義務教育で学校に通うようにサッカーをするので、卒業すれば義務(サッカー)も終わってしまうことに何よりも疑問を感じていたそうです。

彼が率先して生徒に伝えようとしたのは、サッカーを楽しむこと。積極的にミニゲームを行い、クラブ内のミニ大会なども実施し、集中して楽しめる環境作りに尽力したそうです。

「トレーニングをして試合に勝つのも結果だけど、サッカーを好きになってもらうのも大切な結果だよ。僕は80人の部員全員を、しっかりと見たかった。プロになれる可能性のある子と同じように他の子も助けたかった」と彼は語ったそうです。

1998年に、Jビレッジで当時滝川第二高校の監督をされていた黒田和生先生にお会いした際、見知らぬ若手指導者である私の質問に丁寧に笑顔で答えて下さったのをよく覚えていますが、黒田先生はゲルトさんから多くのことを吸収した柔軟な指導者だったのだと改めて思います。

結果的にサッカーを楽しんだ滝二からはその後、岡崎慎司選手、金崎夢生選手らの有能な選手が次々と育ちました。

ゲルトさんは「一番大切なのはサッカーを楽しむこと。僕はみんなに、サッカーを生涯の楽しみにしてほしかった。そうしたら彼らの子供たちもサッカーを楽しむ。そういう種を蒔いていかなければ、サッカーは広まっていかない。サッカーを義務だと感じていたら、先生がいなくなった途端に辞めちゃう」と話されたそうです。

まさに「我が意を得たり」です。

以前、W杯の仕事を一緒にした仲間に「あなたはサッカーの種を蒔いている」と言われたことがありますが、これからもこの本庄にサッカーの種を蒔き続けたいと思います。